・クロミンククジラの発見数は前回の調査と同程度であり、依然として高い水準を保っている。ただし、クロミンククジラが氷縁付近で高密度を形成することが良く知られているにもかかわらず、今次調査では、他鯨種の影響を受けて湾内や氷縁内の開氷域(ポリニア)まで押しやられている傾向が見られた(図1)。

図1.クロミンククジラの発見分布
・ザトウクジラは、前回のJARPA調査時と同様に高い発見数を示し、総数ではクロミンククジラのそれと同様であり、また調査海域内の分布も南側の氷縁付近にまで広く分布するようになり、分布範囲がさらに調査海域全域に広がる傾向を示し、クロミンククジラをさらに南に押しやっている傾向を示した(図2)。

図2.ザトウクジラの発見分布
・ナガスクジラの発見数は前回の調査に比べて大きく増加した。クロミンククジラやザトウクジラと比較すると、やや北側に分布する傾向を示したが、その分布範囲は、前回と比較してさらに南方に広がっていた(図3)。

図3.ナガスクジラの発見分布
・シロナガスクジラ及びミナミセミクジラは従来よりも広い範囲で発見された(図4)。

図4.シロナガスクジラ、イワシクジラ、ミナミセミクジラの発見分布
・クロミンククジラ、ザトウクジラ、ナガスクジラの体重を考慮して、生物量(重量)で比較すると、ザトウクジラの生物量はすでにクロミンククジラのそれを超えており、ナガスクジラにおいてもクロミンククジラと同様の生物量となり、これら3種が南極生態系の中で大きな消費者としての位置にあることが示唆された。
・今回初めて10頭のナガスクジラを捕獲したが、商業捕鯨時の経験に照らして、やせている印象が強く、いわゆる尾の身はほとんど有していなかった。
・餌生物であるナンキョクオキアミの資源量について計量魚探による調査が目視専門船により同時に実施されていることから、これらの解析の結果により、南極生態系におけるこれら鯨種の食地位についても分析されることとなる。
・グリーンピースおよびシーシェパードなど環境保護団体から1ヶ月に及ぶ調査妨害を受けたが、この不当なハラスメントに屈することなく、所期の目的を達成することが出来た。