・最終的な採集頭数は57頭(雄21頭、雌36頭)であった。調査期間中は天候が安定しなかったため、調査期間46日のうち、終日調査ができた日数は4月が3日間、5月は6日間のみであった。
・4月の調査開始時は平年に比べ表面水温が1〜2度高かったが、ミンククジラは例年並に来遊していた。5月に入ってからも調査を行うことができた日は安定した発見があり、捕獲が伸びた。
・捕獲調査船によるミンククジラの発見数は166群171頭(1日隻あたり1.47頭)であり、その他の鯨種としてシャチ1群8頭が発見された。ミンククジラは仙台湾内に広く分布しており、高密度海域は形成されていなかった。
・沖合海域では天候・海況が悪く、結果として仙台湾内での捕獲にとどまったが、ミンククジラの摂餌生態に関する多くの有用な情報が得られた。
・捕獲されたミンククジラは妊娠雌6個体を含み、小型から大型の個体まで広く採集されたが、雌は例年に比べてやや小型が多かった。57頭の組成は、雄は21頭で平均体長6.25m(4.24-8.06m)、平均体重3.08t(1.05-5.50)、雌は36頭で平均体長5.66m(4.05-8.80)、平均体重2.52t(0.91-8.35)であった。
・捕獲個体の胃内容物は、以下の通り
| 餌生物種 |
4月 |
5月 |
計 |
| メロード(イカナゴ)専食 |
6 |
21 |
27 |
| メロード・カタクチ混食 |
1 |
5 |
6 |
| メロード・イサダ混食 |
0 |
1 |
1 |
| カタクチイワシ専食 |
3 |
11 |
14 |
| イサダ(ツノナシオキアミ)専食 |
0 |
0 |
0 |
| 空胃他 |
0 |
9 |
9 |
| 合計 |
10 |
47 |
57 |
・例年と比較して胃内容物重量は全般的に少なく、平均値は22.1kg、最大でも65.2kg、体重比(5.0トン)1.3%に過ぎず、餌環境が必ずしも良好でなかったことが伺われる。
・餌生物調査船拓洋丸(宮城県水産研究開発センター)が実施した音響探査により、調査期間中、仙台湾周辺においてイカナゴおよびイサダの分布が確認されたものの、例年この時期にはまだ来遊していなかったカタクチイワシの分布も確認された。
これは4月上旬の調査開始時から、仙台湾内の表面水温が例年よりも2℃程度高かたったことに関係していたものと思われる。
・この調査は、ミンククジラが南方の繁殖海域から北方の摂餌海域へと北上する時期に合わせて行われたが、ミンククジラは沿岸域の漁業資源を消費しつつ北上回遊することが改めて確認された。
これまで鮎川を基地に行われた3回の調査、さらには秋季に釧路沖で実施されている調査結果と合わせ、沿岸海域におけるミンククジラの摂餌生態や、その捕食が漁業に与える影響の解明に向け引き続き努力していく。
また、来年度にはこれまで行われた6年間の調査結果を受けて、IWC科学委員会によるJARPNUレビュー会合の開催が予想されており、これらのデータを包括的に解析してゆく予定である。

図2.ミンククジラの主要な発見捕獲海域

図3.ミンククジラの胃内容物(イカナゴ)
2007年度JARPNII 三陸沖鯨類捕獲調査の結果概要報告 PDF形式
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