A この海区における餌生物は、ミンククジラが昨年と同様に大型のカタクチイワシを捕食していたのに対して、5、6月に採集したニタリクジラはオキアミを捕食しており、昨年8月のカタクチイワシと異なっていた。このため、7月にも調査を行ったところ、オキアミに加えて小型のカタクチイワシが認められ、ニタリクジラの食性に季節変化のあることが明らかになった。
B また、7海区中央部の移行帯では、極めて近接したところからミンククジラとニタリクジラが発見されたが、その餌生物は、ミンククジラが大型のカタクチイワシで、ニタリクジラがオキアミ類と明確に異なり、両種は分布や餌生物において、同一生態系の時空間を巧みに使い分けている可能性が示唆された。
C 7海区では、特に道東の沿岸域においてミンククジラは、これまでと同様に、多数のスケトウダラを捕食しているのは今調査からも明らかとなり、この海域においてスケトウダラがミンククジラの主要餌生物の一つを構成していることが明らかとなった。
D 9海区のミンククジラは、これまでのJARPN調査と同様に、主にサンマを捕食しており、昨年9月に実施した結果(カタクチイワシ)とは異なっていた。さらに、8海区のミンククジラはイカ類も捕食しており、これら沖合域においても本種の食性がオキアミやサンマ及びイカ類など多様且つ広い適応性を有していることが明確となった。
E マッコウクジラの胃内容物からは、昨年と同様、深海性のイカ類や魚類が認められた。昨年の胃内容物の解析からも、スケトウダラやソコダラ類の耳石が確認されたことから、本種の食性は深海性イカ類だけではなく、魚類も利用していることが示された。
F 9海区では、昨年に引き続き、シロナガスクジラなど多数の大型鯨類が発見されており、特に今年はイワシクジラの発見が多数を占めた。