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DNA分析を活用した鯨肉市場実態調査の実施について


当研究所は、鯨類資源研究の一環として、従来から南氷洋および北西太平洋での鯨類調査により捕獲されたミンククジラのDNA登録を実施してきました。

従って、当研究所が販売した調査副産物のDNAの判読は全て終了していることになりますが、他方、国内において流通している鯨類についても、1995年以降、鯨種や捕獲海域等を判定するためにDNA分析手法を活用した市場サンプリング調査を実施しております。

昨年は42都道府県(73市町村)の魚市場、魚小売店、並びに百貨店・量販店の魚売場で販売されていた刺身用切り身を含む鯨生産物300検体についてDNA分析を実施し、種と生息海域の判定作業を行いました(結果は下記)。

本年度は昨年と概ね同様の調査範囲で11月6日からサンプリングを開始しております。

なお、本研究所のDNA分析技術は、ヒゲクジラを中心に多くの鯨種について個体単位での識別を可能としております。

この技術は正規に捕獲された鯨のDNAを予め登録しておけば、市場に流通している鯨肉が、密漁等により違法に捕獲されたか、密輸された鯨肉かどうかの判定を可能にするものです。



平成11年度調査結果

調査期間 平成11年11月8日〜平成12年2月24日

調査範囲 全国の42都道府県(73市町村)

DNAの分析数 300検体

種の同定数(注)

(内訳) 南半球産ミンククジラ(132)、北太平洋ミンククジラ(31)、ナガスクジラ(2)、ニタリクジラ(1)、ザトウクジラ(1)、マッコウクジラ(6)、ツチクジラ(43)、アカボウクジラ(2)、その他アカボウクジラ科(3)、コビレゴンドウ(16)、ハナゴンドウ(8)、その他マイルカ科(26)、イシイルカ(22)


注)1. 如何なる加工物でも原則としてDNA分析は可能であるが、希にDNAが抽出できなかったり、配列の読取りが困難な場合がある。

注)2. 大変少なくなってはきましたが、現在もモラトリアム以前に捕獲された鯨類の在庫が存在しており、これらが市場に流通しています(平成12年5月18日 日本捕鯨協会プレスリリース参照)。一方、座礁や混獲された鯨が流通した可能性を確認する一助として、上記のナガスクジラ2検体、マッコウクジラ6検体が同一の個体からのものであるか否か、並びに北太平洋産ミンククジラ31検体中、当研究所が採集した個体が占める率等についても分析作業を進めています。

注)3. 調査方法並びに種の同定方法の詳細は、平成6年度の調査を紹介した鯨研通信407号を参照。

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