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Q&A−第2期南極海鯨類捕獲調査について


日本政府は、第57回国際捕鯨委員会(IWC)年次会議(於韓国ウルサン市)に「第2期南極海鯨類捕獲調査計画」を提示しました。 そして、IWC科学委員会および総会の議論を経てこの計画を実施することを表明しました。 この調査は、本年末から明年始めにかけたシーズンからスタートします。実施主体である日本鯨類研究所は、この機会に第2期調査(略称JARPAII)についてのQ&Aを掲載します。 皆さんのご理解の一助になれば幸いです。


Q1.日本は南極海でどのような鯨類捕獲調査を実施していますか

Q2.それによってどのような成果が上がっていますか

Q3.第2期調査はどのような調査ですか、また、なぜ必要ですか

Q4.生物学的特性値とは、どんなものですか

Q5.クロミンククジラの性成熟年齢が若くなったと言うことですがなぜですか、また、どんな意味があるのですか

Q6.脂皮とはなんですか、また、薄くなったということですがなぜですか

Q7.生物学的特性値のモニタリングで何がわかるのですか

Q8.ザトウクジラやナガスクジラが急激に増えてきたと聞きましたが、本当ですか? また、シロナガスクジラはどうなっているのですか

Q9.南極海のヒゲクジラ類オキアミを食べていますが、1日にどれくらいを消費しますか、また、餌は十分足りていますか

Q10.ナンキョクオキアミは、地球温暖化で減ってしまったのでは

Q11.鯨種間の競合とはどういうものですか

Q12.生態系モデルとはどんなものですか、また、それを作れば何がわかるのですか

Q13.鯨の系群はどうやって調べるのでしょうか、また、なぜ必要ですか

Q14.鯨の資源管理はどうやって行うのですか、また、どうやってそれを改善するのですか

Q15.南極海のどこを調査するのですか、また、なぜそこを選んだのですか

Q16.目視調査とはどのようなものですか

Q17.ランダムサンプリングとはどういうものですか、ランダムサンプリングでの捕獲はふつうの捕獲とどう違うのですか

Q18.調査を何年間続けるのですか、また、調査の成果は何年後に出るのですか

Q19.クロミンククジラの捕獲頭数はどうやって決めたのですか

Q20.新たにザトウクジラとナガスクジラを捕獲するのは、なぜですか

Q21.鯨はみんな絶滅に瀕していると聞いていますが、鯨を捕ってよいのですか

Q22.そんなに鯨を捕ると、鯨資源は絶滅してしまうのでは

Q23.鯨を殺さずに調査ができるのでは

Q24.商業捕鯨と調査捕鯨(捕獲調査)の違いは

Q25.日本は調査捕鯨(捕獲調査)の名の下に、お金儲けのための商業捕鯨をしているのでは

Q26.IWCの決めた商業捕鯨モラトリアムとは、どんなことですか

Q27.国際捕鯨委員会(IWC)と日本の捕獲調査との関係はどうなっていますか

Q28.科学的とは言え、IWCの決めたサンクチュアリー(聖域)で捕獲をするのは違法ではないのですか

Q29.鯨の肉は、PCBや水銀を多く含んでいるのでは、南極海ではどうなっていますか

Q30.収集したデータは公開すべきと思いますが、どうしていますか

Q31.日本の捕獲調査にほとんどの国が反対していると聞いていますが、それなのになぜ調査を行うのですか

Q32.日本の第2期南極海鯨類捕獲調査計画は、科学雑誌「ネイチャー」で批判されたと聞いていますが

Q33.捕獲調査の成果が、科学論文としてほとんど出されていないというのは本当ですか

Q34.鯨類捕獲調査の成果(論文、報告等)はどこで見ることができますか

Q35.動物の福祉を主張するNGOが、日本の捕獲調査では鯨を残酷に殺していると言っていますが、本当ですか

Q36.調査した後の鯨の肉を販売していますが、それによる収入はどのように使っていますか



第2期南極海鯨類捕獲調査について


Q1.日本は南極海でどのような鯨類捕獲調査を実施していますか

1987年から南極海において鯨類捕獲調査を実施しています。 第1期調査は2005年3月に終了しましたが、この調査では、1)クロミンククジラの資源管理に有用な生物学的特性値の推定、2)南極海生態系における鯨類の役割解明、3)環境変化が鯨類の資源に与える影響の解明、4)クロミンククジラの系群構造の解明、を調査の主目的として、クロミンククジラを対象として実施されました。 第一の目的を達成するためには、資源から無作為に鯨を捕獲する必要がありました。 このため、調査では、事前に無作為に選ばれた調査コース上を目視調査して、発見された鯨の群れの中から無作為に選択した鯨を捕獲する(ランダムサンプリング)といった統計学的な調査方法が用いられました。

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Q2.それによってどのような成果が上がっていますか

南極海鯨類捕獲調査で得られた結果は、国際捕鯨委員会の科学小委員会(IWC/SC)に報告するほか、各種の学会などで報告しています。 IWC/SCでは、毎年航海報告を行うほか、データ解析の結果についても、その都度報告しています。 また、1997年にはIWC/SCが主催して捕獲調査から得られたデータとその成果ついて審議する中間レビュー会合が開催され、詳細な検討が行われています。 また、最終年の調査が行われた2005年には、同様の評価会合を、日本国政府が主催して開催し、いずれも高い評価が得られています。 これらの結果は、IWCの年次報告や日鯨研のホームページで参照することができます。 また、IWC/SCは最終年の調査結果も含めた最終評価作業を行う作業部会を2006年秋頃に開催することとしています。
成果の一部について紹介すると、クロミンククジラは、これまで南極海には5から6の系群が存在するとされていましたが、遺伝学、生物学、形態学など総合的な検討の結果、南極海のほぼ半分に当たる調査海域(III区東側からVI区西側)には2つの大きな系群が分布し、これが緩やかな境界域をもって索餌海域である南極海に分布することが明らかになりました。 また、この系群ごとの生物学的特性値も推定されています。 さらに、南極海はPCBsなどの化学汚染度が低く、クロミンククジラの化学汚染度は極めて低いこと、また性成熟年齢や肉体成熟年齢、成長曲線、脂皮厚、胃内容物重量などの生物学的情報において、経年変化のあることが判明しています。
なお、過去の商業捕鯨による大型鯨類の乱獲によって、餌となるオキアミに余剰が生じ、これを利用したクロミンククジラに成長速度の加速化や早熟化が起こっていることが捕獲調査の以前から報告されていましたが、捕獲調査によって1970年頃を境にして、これが停止し、僅かながら上昇する傾向が認められました。 これに加えて、近年、ザトウクジラやナガスクジラなどの一部の大型鯨類の資源が急速に回復しつつあることも判明しており、南極海生態系の構造が現在も変化し続けていることが明らかになってきました。

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Q3.第2期調査はどのような調査ですか、また、なぜ必要ですか

第1期捕獲調査の結果から、南極海生態系の構造が現在もなお変化し続けていることが、クロミンククジラの解析を通して明らかになりました。 海洋生物の持続的な利用を図るためには、その変化がどこに向かっているのかを見極めて、適切な管理や利用方法を検討する必要があります。
しかしながら、このような変化を短期間に掴むためには、これまでよりも調査の規模を拡大する必要があります。 そこで、第2期調査では6年を一区切りとした調査が設計され、クロミンククジラの捕獲数も850頭(±10%)に設定し、またこれに加えて資源が回復しつつあるナガスクジラやザトウクジラも調査の対象に加えました。 これによって、6年後に統計的な結果を得ることが可能となっています。 この第2期南極海鯨類捕獲調査計画の計画書は日本鯨類研究所のホームページよりダウンロードすることができます (SC/57/O1 第二期南極海鯨類捕獲調査計画(JARPAII)−南極海生態系のモニタリングと鯨類資源の新たな管理目標の開発−

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Q4.生物学的特性値とは、どんなものですか

生物学的特性値には、生物資源を管理する上で重要な情報となる、自然死亡率、性成熟年齢、妊娠率、一腹仔数、加入率、寿命などが含まれます。 これらの情報を総合的に分析することにより、対象となる資源全体で毎年何頭の子供が生まれ、また何頭が自然に死んでいくのかが推定可能となり、資源の動向を把握することができます。

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Q5.クロミンククジラの性成熟年齢が低くなったと言うことですがなぜですか、また、どんな意味があるのですか

南極海では、シロナガスクジラなどの大型鯨類が、商業捕鯨による乱獲によって資源が減少したため、クジラの餌であるオキアミに余剰が生じました。 このため、クロミンククジラが食べることのできるオキアミの量が増え、栄養状態が良くなった結果、成長速度が早くなり、成熟する年齢が低下したものと考えられています。
また、このような早熟化により、子供を生むことができる成熟雌の数が増加し、結果としてクロミンククジラ資源が増加したと考えられています。 しかしながらそのような早熟化は、1970年頃を境にして停止若しくは高齢化に向かう傾向にあることが第1期の捕獲調査から明らかになっています。

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Q6.脂皮とはなんですか、また、薄くなったということですがなぜですか

脂皮(Blubber)とは、海獣類(ホッキョクグマとラッコを除く)だけに存在する特殊な組織であり、体表の皮(表皮と真皮)とその直下の皮下脂肪層を合わせたものの総称です。 鯨類など海産哺乳類は、海中で生活する上で体温保持を行う必要があります。 このため、鯨類は皮下に脂肪を蓄えて、体温の発散を抑えています。 また、この脂肪層はエネルギーの貯蔵場所でもあり、1年分のエネルギーを、半年間の摂餌場である南極海での滞在の期間に蓄えます。 捕獲調査の結果から、12月頃に採集したクロミンククジラの脂皮厚の平均は2〜3cmですが、3月頃にはこれが4〜5cmにまで厚くなることがわかりました。 このような季節変化に加えて、経年的な変化のあること、すなわち、この脂皮が1980年代から年々薄くなってきていることが明らかとなり、クロミンククジラの摂餌環境が変化(悪化)しつつあると推定されています。

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Q7.生物学的特性値のモニタリングで何がわかるのですか

鯨類資源がこれからどのような方向(増加、安定、減少)に向かっているのかを知ることができます。 例えば、資源の年齢組成を見た時に、現在の日本と同じ様に、高齢のクジラが多く若いクジラが少ないような逆ピラミッド型の年齢構成であった場合には、次に繁殖に加わる世代のクジラが徐々に減少するので、将来的にはそのクジラ資源は減少していくことが分かります。 また、逆に若いクジラが多く高齢のクジラが少ないようなピラミッド型の年齢構成であった場合には、資源としては増加もしくは安定した状態にあり、健全な資源状態であることが分かります。 このように、生物学的特性値を知ることによって、現在の資源状態の把握と将来の予測が可能となります。

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Q8.ザトウクジラやナガスクジラが急激に増えてきたと聞きましたが、本当ですか? また、シロナガスクジラはどうなっているのですか

JARPAの目視データでは、調査海域に来遊するザトウクジラやナガスクジラの資源量が1990年頃から増加傾向にあることが示唆されています(年間14から16%)。 この他、特にザトウクジラについては、オーストラリア等の研究者が西オーストラリア系群で11%、東オーストラリア系群で12%と高い率の増加率をIWC/SCで報告しており、このことからもザトウクジラ資源が急激に回復しつつあるという考えが支持されています。
一方、シロナガスクジラについては、初期資源(人間が捕獲を始める以前の水準)はおよそ20万頭と推定されていますが、IWC科学委員会メンバーによる最新の資源量推定値は1,700頭と低水準であり、増加率は7.3%と比較的高い数値が報告されているものの、いまだに資源の水準そのものが低く(初期資源の1%未満)、回復が遅いことが指摘されています。
この原因については、まだ良くわかっていませんが、資源が大きく枯渇状態に陥ったため、繁殖する機会が減少しすぎたのではないか、また、餌と生活の場を競合するクロミンククジラが増えすぎてシロナガスクジラの生活を脅かしているのではないかとの見方もあります。

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Q9.南極海のヒゲクジラ類はオキアミを食べていますが、1日にどれくらいを消費しますか、また、餌は十分足りていますか

南極海ではクロミンククジラは日間240〜370kgのオキアミを消費すると推定されています。 これは体重のおよそ4〜5%に相当します。 オキアミの資源量については十分な情報はまだありませんが、およそ3,600万から3,800万トン(南極海IV区)と推定されており、ヒゲクジラ類の餌として十分なオキアミの現存量があると考えられます。

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Q10.ナンキョクオキアミは、地球温暖化で減ってしまったのでは

2004年11月に英科学雑誌「ネイチャー」に、ナンキョクオキアミの80%が温暖化の影響で減少したとする論文が掲載されました。 しかしながら、これは南極半島周辺のスコシア海でオキアミの38%が減少したことを用いて南極海全体に当てはめたものですが、このスコシア海の結果(減少)を南極海全体に当てはめるのが適当であるとは言えません。 なぜなら他の海域についてはまだ十分な情報が得られていないからです。 したがって,このことを理由に鯨類が捕食するオキアミの量が南極海全体で減少していると言うことは出来ません。 日本の捕獲調査が対象としている海域(東経35度から西経145度)においては、このような温暖化の影響はまだ検出されていません。 しかしながら今後顕在化する可能性もあるので、海洋環境も含めた生態系全体の継続したモニタリングが必要です。

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Q11.鯨種間の競合とはどういうものですか

ここでいう競合とは主に餌と生活の場をめぐる競合のことを指しています。 南極海生態系の中では、鯨類、アザラシ、ペンギンなどはナンキョクオキアミを主に利用しています。 このため、南極海生態系の構造はナンキョクオキアミを鍵種として比較的単純であると言われています。
このような生態系の下で、ここ数十年はクロミンククジラが他の大型鯨種の枯渇により生じた餌の余剰を利用していました。 しかしながら、近年、ザトウクジラやナガスクジラ等の大型鯨種の資源が回復し、調査海域への来遊量が増大したため、これまで調査海域に広く分布していたクロミンククジラが南極大陸側の氷縁(パックアイス)付近にまで押しやられていることが観察されています。 このことは、シロナガスクジラを含む4鯨種が競合関係にあり、相互になんらかの影響を及ぼしていることを強く示唆しています。 しかしながら、資源が回復したザトウクジラやナガスクジラ等の大型鯨種が、現在、どんな餌生物をどれだけ利用しているのかという実態は明らかにされていません。 今後の調査によって明らかになるものと期待されています。

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Q12.生態系モデルとはどんなものですか、また、それを作れば何がわかるのですか

ここでいう生態系モデルは、ある海域で同一の生態系を構成する生物を構成要素として、その資源量、食性などの情報から、’喰う喰われる’の直接的な関係のみならず、他の生物を介した間接的な関係などを明らかにして、それらの資源がどう変化しつつあるのか、また一つの種の捕獲による減少が他の種にどう影響するかを予測、推定するものです。 それにより、これらの生物を持続的にかつ有効に利用するための方策を考えることが可能になります。 しかしながら、複雑なモデルになると必要なデータの種類や量も多くなり、モデルの解釈も難しくなることから、当初は数種の生物種から生態系のモデル化を進めることにしています。

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Q13.鯨の系群はどうやって調べるのでしょうか、また、なぜ必要ですか

ここでいう系群とは資源を管理する上で対象単位となる繁殖集団のことを指しています。 資源状態は系群で異なる場合があることから、これを無視して管理しようとすると、知らない間に1つの系群の資源を枯渇させることになる可能性があります。 近年では系群の識別にDNA分析などの遺伝学的な解析結果を用いることが主流となってきましたが、DNAだけでは必ずしも十分ではないことから、繁殖期などの生物学的情報や形態学的比較なども含めて総合的な検討が必要であるとされています。

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Q14.鯨の資源管理はどうやって行うのですか、また、どうやってそれを改善するのですか

IWC/SCは新たな商業捕鯨での捕獲枠の算出方法として、改定管理方式(RMP)を策定し、1992年に合意しました。 (ただし、IWC総会では捕獲枠の遵守等のための監視取締制度を含む包括的な管理制度(改定管理制度:RMS)が必要であるとして現在も検討を継続中。) このRMPは100年後においても資源を高い水準で安定させるように想定されるあらゆる条件を考慮して捕獲枠を算出する方式であり、過去の捕獲数と資源量推定値のみが計算に用いられます。 しかしながら、このようなわずかのデータで捕獲枠を算出するため、過剰過ぎるほどの安全性を見込んでおり、本来ならば十分に利用できる水準にある資源であってもこれを活用することが不可能となることが多くなっています。 (RMP策定に尽力した科学者の1人は、「RMPを陸上の動物に当てはめると、捕獲枠が算出される動物はいない」と述べています。)
第1期の調査は、「資源管理の改善に役立つ潜在力があり、資源へのリスクを増やすことなく捕獲限度を増やすことに貢献するだろう」との評価をIWC/SCより受けています(1997年の中間レビュー会合)。 第2期南極海鯨類調査計画では、さらにこれを推し進め、RMPがさらに効率的な資源管理を果たせるような情報を提供するように計画されています。

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Q15.南極海のどこを調査するのですか、また、なぜそこを選んだのですか

IWCでは南極海を6つの海区に分けて管理しています。 第2期の南極海鯨類捕獲調査は、このうち、南極海の第III区東半分と、IV区、V区及びVI区の西半分を調査海域としています。経度で言うと、東経35度から西経145度で、おおよそ南極海の半分に相当します。 この海域は第1期南極海鯨類捕獲調査と同じ海域に当たります。 この海域を選択されたのは、日本から最も近く、また商業捕鯨時代からの情報が蓄積されていて、モニタリングを行うのに必要な時系列的な情報が蓄積されているからです。
また、鯨類資源の動向を掴むためのモニタリングでは、系群を一つの単位として鯨類の生物学的特性値や栄養状態などをモニターしていく必要があります。 この系群に関する情報は、第1期調査でのDNA分析や生物学、形態学など総合的な検討結果から得られたものです。 このモニタリングによって、より正確な鯨類資源の動向を掴むことが可能となります。

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Q16.目視調査とはどのようなものですか

目視調査とは、その名前のとおり人間が目で直接クジラを確認してその頭数を数えて、そのクジラの分布状態や全体で何頭のクジラがいるのかを調べる調査のことです。 しかしながら、クジラは海に潜るので全てのクジラを確認して頭数を数えることは不可能です。 そのため、クジラの目視調査ではライン・トランセクト法という調査方法を用います。 これは、調査海域内に予め無作為に調査定線(コース)を設定し、その定線上を調査船が走って鯨を探索し、発見された鯨の数から目視定線上に分布する鯨の数を推定し、それを調査海域全体に引き伸ばして調査海域内の資源頭数を推定する方法です。 目視調査によって鯨類資源の管理に不可欠な資源量推定値を得ることができます。 第2期調査では、2隻の目視専門船を用いてこれまでより広い調査海域でより正確な資源量を求めることにしています。

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Q17.ランダムサンプリングとはどういうものですか、ランダムサンプリングでの捕獲はふつうの捕獲とどう違うのですか

ランダムサンプリングとは、得られるデータに恣意的な偏りが生じないようにするために乱数表等を用いて無作為にデータを集めることを言います。 例えば、ある集団の年齢構成がどのようになっているのかを知ることは、その集団が将来増えていくのか減っていくのかを予測するための重要な手がかりとなります。 しかしそのような情報を得るためには、対象となる集団全体から偏りのない情報を得ることが必要になります。 このような情報は商業捕鯨からは収集が不可能でした。 なぜなら商業捕鯨では利潤追求のため、より大型の個体が豊富に分布する海域で大型の個体から捕獲するように計画されており、そのため、得られるデータも高年齢のものに偏り、場合によっては性比にも偏りが見られたからです。 第2期南極海鯨類捕獲調査では第1期調査と同様に調査海域からランダムサンプリングを行うことにより、対象とする資源全体を代表するデータを得ることにしています。

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Q18.調査を何年間続けるのですか、また、調査の成果は何年後に出るのですか

第1期の南極海鯨類捕獲調査の結果から、近年、南極海生態系に大きな構造の変化が起こっていることが推測されました。 そのため、第2期調査では継続的なモニタリングを行い、南極海に生息する鯨類資源の適切な管理や利用の方法を検討していくことを目指しています。 第1期調査では過去の変化を知るために10年以上もかかったことから、第2期調査では標本数の増加によって調査年数を短縮し、早期にこの変化を把握することを目指しています。
統計的な手法を用いて検討するためには、対象となる事象について最低でも3回(3年分)のデータが必要となりますが、第2期調査では2つの海域を毎年交互に調査することから、それぞれの海域で3年分、最低でも6年間の調査が必要となります。 このため、第2期調査では6年後に得られた調査結果のレビューを行って、必要に応じて、調査方法の変更・改善等を含む調査の見直しを行うことになっています。

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Q19.クロミンククジラの捕獲頭数はどうやって決めたのですか

第1期の南極海鯨類捕獲調査の結果から、南極海生態系に変化が起こっていることが明らかになりました。 近年の変化は10年以上も前から起ってきたと考えられますが、最近になってようやくこの変化を明らかにすることが出来ました。 適切な鯨類資源の管理を行うためには、このような南極海生態系の変化を早期に検出して、その方策を検討する必要があります。 第2期調査では、2つの海域から統計的な検討のできる最低のデータ数である3回(3年分)のデータを用いることで性成熟年齢、妊娠率、脂皮の厚さなどの変化を統計的に検出することを目指しています。 今回の調査における捕獲頭数はこのために必要な必要最小限の標本数として算出されています。 また、6年後に得られた結果の検討を行い、必要に応じて、調査方法や捕獲頭数が検討されることになっています。

矢印

Q20.新たにザトウクジラとナガスクジラを捕獲するのは、なぜですか

これら両種は商業捕鯨で乱獲され、1960年代には既に枯渇状態に陥っていましたが、近年、一部の海域で資源が急速に回復しつつあることが報告されています。 第1期調査において、1990年頃からザトウクジラとナガスクジラの調査海域内での発見が際立って多くなっており、資源の回復とともに索餌海域である南極海への来遊が増加したことがわかってきました。 特に、ザトウクジラについては、その繁殖海域である東西のオーストラリア沿岸で年間10%以上の増加率で急激に資源が回復しつつあることがオーストラリア等の研究者からも報告されています。
このような大型鯨類の増加は、これまで南極海生態系で優占種となっていたクロミンククジラにも影響を及ぼしており、近年の調査結果からはザトウクジラがクロミンククジラの分布を南極大陸の氷縁(パックアイス)付近まで押しやっている可能性が示唆されています。 このため、鯨類資源の適切な管理を考えるためには、同一海域に分布し、相互に影響し合う複数の鯨種間の関係(競合関係)を解明することが必要であり、従来のようにクロミンククジラのデータのみでは不十分であることが指摘されました。 そのため、第2期南極海鯨類捕獲調査ではこれらの鯨種も調査対象とすることになりました。

矢印

Q21.鯨はみんな絶滅の危機に瀕していると聞いていますが、鯨を捕ってよいのですか

全ての鯨類が絶滅の危機に瀕しているというのは間違いです。 例えば、南極海のクロミンククジラの初期資源(人間が捕獲を始める以前の水準)は8万頭と推定されていますが、1991年のIWCではその資源量が76万頭であると合意されました(但し、現在、IWCではこの推定値の改定作業が進められています)。 これには索餌場での競合相手であったシロナガスクジラなどの大型鯨類資源の減少が寄与したと考えられています。 また、我が国の沖合沿岸域の北西太平洋の鯨類についても、目視調査からミンククジラ2万5千頭、ニタリクジラ2万5千頭、イワシクジラ2万8千頭と推定されています。 さらに、北東太平洋のコククジラ資源もおよそ26,000頭と推定されており、初期資源近くまで回復したことが報告されています。 同様に、第1期の南極海鯨類捕獲調査の結果からは、南半球のザトウクジラやナガスクジラが急速に資源を回復させていることが判明しています。
その一方で、南半球のシロナガスクジラは、初期資源は20万頭と推定されていますが、商業捕鯨による乱獲の後に捕獲禁止になって以来既に40年以上も経過しているにも関わらず、未だ低水準で低迷(およそ1,700頭程度)しており、その資源回復計画が検討されています。 第2期調査が捕獲調査の対象とする鯨種(クロミンククジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ)は、いずれも資源が健全なレベルもしくはそれに近いレベルに回復しており、調査によってこれら資源を減少させる心配は全くありません。

矢印

Q22.そんなに鯨を捕ると、鯨資源は絶滅してしまうのでは

第2期南極海鯨類調査が捕獲調査の対象とする鯨種(クロミンククジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ)は、いずれも資源が健全もしくはそれに近い状態にある資源です。 調査海域に来遊するクロミンククジラ資源は約32万頭(東インド洋系群22万8千頭、西部南太平洋系群約9万5千頭)、ナガスクジラは約5万頭(インド洋系群3万1千頭、太平洋系群1万6千頭)、ザトウクジラは約4万頭(D系群3万2千頭、E系群約4千頭)であり、これらの資源に対する標本数(捕獲数)はそれぞれ850頭±10%、50頭及び50頭で、資源に比べてこれらの標本数は十分に小さくなっています。 さらに、調査計画の立案に当たって、IWC科学委員会で標準的に用いられている捕獲による資源への影響を調べる方法(ヒッター/フィッター法など)を用いてこれらの捕獲頭数が資源に与える影響が軽微であることを確認しています。 この点については詳細な検討が計画書の付録に記述されていますので、こちらを参照下さい(SC/57/O1 第二期南極海鯨類捕獲調査計画(JARPAII)−南極海生態系のモニタリングと鯨類資源の新たな管理目標の開発−

矢印

Q23.鯨を殺さずに調査ができるのでは

調査には、鯨を殺して調べなければ出来ない調査(致死的調査方法)と殺さなくてもできる調査(非致死的調査方法)があります。 例えば、鯨の資源量を推定するためには、非致死的調査方法であるライントランゼクト法による目視調査が用いられます。 性成熟年齢、妊娠率の推定を行ったり、脂皮厚の計測や胃内容物の種類と量を調べるためには、致死的調査でなければデータを得ることができません。 このため、第2期南極海鯨類捕獲調査は、第1期調査と同様に、目的に応じて、致死的方法と非致死的方法を組み合わせた調査を行うこととしています。

矢印

Q24.商業捕鯨と調査捕鯨(捕獲調査)の違いは

一般的には、商業捕鯨は営利を目的として行われるのに対し、調査捕鯨(捕獲調査)は科学的な情報を収集するために行われています。国際捕鯨取締条約は、鯨類の資源管理は科学的根拠に基づくべきことを規定しており、また、商業捕鯨のモラトリアムの下でも加盟国政府が許可を発給して自国民に捕獲調査を実施させることが出来ることを規定しています(第8条)。 したがって、我が国が実施している捕獲調査は、商業捕鯨への規制措置(商業捕鯨モラトリアム、南大洋鯨類サンクチュアリー(鯨の聖域)等)には拘束されません。

矢印

Q25.日本は調査捕鯨(捕獲調査)の名の下に、お金儲けのための商業捕鯨をしているのでは

捕獲調査は、鯨類資源の持続的利用のための科学的情報を得るために実施されるものであり、鯨肉の販売による利益の追求を目的としたものではありません。 その一方で、国際捕鯨取締条約は第8条2項で、「調査した鯨体は可能な限り副産物を生産し、その売却代金は政府の指示によって使用する」ことを規定しています。 そのため、日本鯨類研究所は、政府の指示に従って調査の副産物である鯨肉等を販売し、得られた収入を用いて次年度以降の捕獲調査を実施しています。

矢印

Q26.国際捕鯨委員会(IWC)の決めた商業捕鯨モラトリアムとは、どんなことですか

商業捕鯨モラトリアムとはIWC加盟国が商業捕鯨を全て一時停止することです。 1972年の「国連人間環境会議」では、全ての鯨が絶滅の危機に瀕しているとして、10年間の商業捕鯨モラトリアム決議が採択されました。この決議には科学的根拠が全くなかったことから、同年のIWCでは商業捕鯨モラトリアムの導入が否決されました。 しかしながら、一部の強硬な反捕鯨国の多数化工作もあって、1982年にはIWCでも科学的根拠が示されないままに商業捕鯨モラトリアムが採択されてしまいました。 この際に、「遅くとも1990年までに鯨類資源の包括的な評価を実施して、ゼロ以外の捕獲枠を設定する(すなわち、商業捕鯨を再開する)」という付帯条件が付いていたのですが、南極海のクロミンククジラ資源や北西太平洋のミンククジラ資源のように資源が健全であることが明らかとなった現在でも、この付帯条件は反捕鯨国の科学的根拠を欠いた理不尽な対応によって守られていません。
なお、IWC科学委員会が商業捕鯨モラトリアムを勧告したことは一度もありません。

矢印

Q27.国際捕鯨委員会(IWC)と日本の捕獲調査との関係はどうなっていますか

日本は国際捕鯨取締条約に加盟しており、同条約に基づいて設けられた国際捕鯨委員会(IWC)のメンバーです。 国際捕鯨取締条約は、加盟国の権利として、科学目的で鯨を捕獲する許可を出すことができ(第8条)、その許可を受けた当研究所が捕獲調査を実施しています。 なお、捕獲調査の正当性、妥当正当を検証するために捕獲調査を計画する加盟国はその計画案をIWC科学委員会に提示し、科学委員会のレビューを受けることとなっています。
我が国が実施している捕獲調査については、いずれも、その調査計画をIWC科学委員会に提出し、内容のレビューを受けています。 また、捕獲調査により得られた科学的情報は、毎年、IWC科学委員会に報告され、反捕鯨国を含む多くの国の科学者から高い評価を受けています。

矢印

Q28.科学目的とは言え、IWCの決めた鯨類サンクチュアリー(聖域)で捕獲をするのは違法ではないのですか

全く違法ではありません。 南極海に設定された南大洋鯨類サンクチュアリーは商業捕鯨に対する管理措置の1つとして1994年に導入されました(国際捕鯨取締条約第5条1項)。 その一方で、捕獲調査については加盟国の権利として別途規定されており(第8条1項)、商業捕鯨への管理措置であるサンクチュアリーは科学目的の捕獲調査には適用されません。 (なお、第8条1項では、「この条約の規定にかかわらず・・・」と定められており、捕獲調査については第5条1項の適用を受けないこととなっています。)
なお、IWC科学委員会は、南大洋鯨類サンクチュアリーの必要性を勧告しておらず、サンクチュアリーの設置には科学的根拠が全くありません。 IWCでは1992年に安全な捕獲枠を設定する新しい方式(改訂管理制度:RMP)が完成したため、理論上、捕鯨の再開が可能となりましたが、捕鯨の再開を何が何でも阻もうという反捕鯨国の思惑により、数の力でこのサンクチュアリーが設置されたというのが実情です。 国際捕鯨取締条約は鯨類の管理措置は科学的根拠に基づくべきとはっきりと規定しているので、科学的根拠を有さないサンクチュアリーの設置の方が違法といえましょう。

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Q29.鯨の肉はPCBや水銀を多く含んでいるのでは、南極海ではどうなっていますか

人間活動により放出されたPCBsや水銀などの化学汚染物質は、一般に大気を経由して陸上から外洋まで運ばれ、海水からプランクトン、魚類、海産哺乳類へと生物濃縮されることがよく知られています。
鯨類は種類や生息域によって、動物プランクトンや魚類、イカ類などを主食としており、また沿岸域から遠く南極海まで広く分布し、多様性に富んでいるため、汚染度は種や生息域で異なっています。
クロミンククジラが索餌場とする南極海は、汚染の放出源から遠く、環境中の汚染度が極めて低いことはよく知られています。 さらに、クロミンククジラはナンキョクオキアミなどの低次の動物プランクトンを主要な餌として利用していることから、体内に蓄積される汚染物質の量は、極めて低くなっていることが我が国の捕獲調査を通じて明らかになっています。
第二期南極海鯨類捕獲調査では、南極海及びクロミンククジラ等のこのような特徴を利用して、北半球に生息する鯨類の汚染物質による影響評価の際に必要となる対照群(非汚染海域)となる科学的情報を提供します。 同時に、汚染物質の終着点たる南極海の海洋生物環境をモニターすることを通じて地球規模での汚染の広がりをモニターすることが期待されています。

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Q30.収集したデータは公開すべきと思いますが、どうしていますか

捕獲調査で得られた成果は、毎年、IWC科学委員会に提供しており、反捕鯨国を含む多くの国の科学者から歓迎されるとともに高い評価を得ています。 また、調査によって得られた個々のデータは、調査期間の中間点や調査が終了した時点でデータリストにとりまとめてIWC科学委員会に提示し、データの使用を希望する科学者にはIWC科学委員会の規定にしたがってデータを供与してきております。 しかしながら、分析前の原データの公開につきましては、データを得るために多くの費用と研究者の労力を要するため、それを得た研究機関あるいは研究者が第一義的に所有するのが、国内外を問わない一般的な認識となっており、日本鯨類研究所も分析前の原データにつきましては原則的に第三者に対し公開しておりません。 ただし、IWC/SCでの資源評価のためのデータの使用要請や共同研究の申し入れがあった場合には、申し入れ内容を検討したうえで、日本鯨類研究所の規定に基づいて受け入れる場合があります。 すでに、この条件の下で、捕獲調査のデータがIWCの一部の科学者に提供されています。

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Q31.日本の捕獲調査にほとんどの国が反対していると聞いていますが、それなのになぜ調査を行うのですか

まず、ほとんどの国が反対しているというのは誤りです。 IWCでは、現在、捕鯨支持国と反捕鯨国がほぼ同数ですが、このうち反捕鯨国は捕獲を伴う調査を止めて、非致死的方法で調査をすべきであると主張しています。 一方、ほぼ半数の捕鯨支持国は日本の捕獲調査は鯨類資源管理に必要な科学的情報の収集に不可欠であるとして支持しています。 鯨を含む海洋生物資源の持続的利用のためには、個々の資源の動態(繁殖率、資源量、増減の傾向など)や生態系の構造(“食うー食われる”の間係など)といった科学的情報が必要です。 その必要性は、国連食糧農業機関(FAO)の水産委員会(COFI)において全会一致で合意(FAO/COFI24報告書パラ39)されているように、IWC以外の国際機関では広く認識されています。 捕獲調査はそのような科学的情報を得るために実施されていますが、政治色の強いIWC以外の国際機関においては海洋生物資源の持続的利用への賛同は当然のものであり、多くの国々は貴重な科学的情報をもたらす捕獲調査も支持しています。
なお、日本は致死的調査と非致死的調査の両方の調査を行っていますが、日本の捕獲調査に反対している国の中で、日本がIWCに提出しているものと同レベルの科学的情報をIWCに提出している国は一つもなく、調査すら行っていない国もたくさんあります。

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Q32.日本の第2期南極海鯨類捕獲調査計画は、科学雑誌「ネイチャー」で批判されたと聞いていますが

2005年6月16日出版の「ネイチャー」紙に、4人の科学者の連名による日本の第2期南極海鯨類捕獲調査計画(JARPAII)を批判する記事が掲載されました。残念なことに、この記事の中には科学者としての信憑性を疑わざるを得ない事実の歪曲や誤認が多く含まれていました。
例えば、JARPAII計画がIWC科学委員会で批判されたとされていますが、賛成や支持も多くあったことは記されておらず、捕獲調査により得られた科学的情報がIWC科学委員会において高い評価を受けていることは無視して鯨を殺すために調査を隠れ蓑にしているといった感情的な記述がなされています。 また、何ら科学的根拠を示すことなく、捕獲数の増加が資源に悪影響を及ぼすと主張しています(日本は今回の捕獲数が対象となる鯨類資源に悪影響を及ぼさないという分析結果を調査計画文書の中に示しています)。 また、そもそもこの4人の科学者は、科学委員会の中立性を保つために本会議開会前には科学委員会における議論の結果を公表しないという手続き規則を破って投稿を行いました。 このため、日本鯨類研究所はネイチャー誌に反論記事を掲載するよう要請し Answering the critics of Japanese whale research、また、IWC事務局もこのようなルール違反は絶対に繰り返さないように警告文書を加盟国に回章しました。

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Q33.捕獲調査の成果が、科学論文としてほとんど出されていないというのは本当ですか

“科学論文が少ない”というのは、捕獲調査に反対する科学者の一方的な主張です。 実際には、査読つきの科学雑誌(英文、和文)に投稿した捕獲調査関連の論文数は84編にものぼり、また、IWC科学委員会に提出した論文数は150編以上となっております(いずれも2005年6月時点)。 改めて説明するまでもありませんが、鯨類に関する科学的検討が行われている国際機関としてはIWC科学委員会が世界最高の権威となっており、IWC科学委員会に提出した捕獲調査の成果に関する科学論文の数が他の科学誌への掲載論文数よりも多くなるのは当然の帰結と言えます。
なお、残念なことに、米、英、独の科学雑誌のいくつかは、致死的な調査により得られたデータの分析結果であるという非科学的理由で、調査成果に基づく論文の掲載を拒否しています。

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Q34.鯨類捕獲調査の成果(論文、報告等)はどこで見ることができますか

捕獲調査の成果は、学術専門雑誌や各種学会誌などの学術刊行物や、IWCの提出ドキュメント、日本鯨類研究所の発行した定期刊行物(鯨研通信)やパンフレット、並びに一般科学雑誌や単行本などに掲載されています。 これらの論文等は日本鯨類研究所でも閲覧することが可能です。 また、2005年1月には第1期南極海鯨類捕獲調査の成果を審議するレビュー会合が開催されました。 この会合で提出されたドキュメントや会合の報告書については日本鯨類研究所のホームページからダウンロードして参照することが出来ます。 Documents submitted to the Review Meeting of the JARPA
また、これら論文のリストについては、IWC年次報告書(Rep. int. Whal Commn 40: 377-408, 1998)に掲載されていますが、最新版については、上記のレビュー会合での会議資料として配布されており、この資料もまた研究所で閲覧することが出来ます。

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Q35.動物の福祉を主張するNGOが、日本の捕獲調査では鯨を残酷に殺していると言っていますが、本当ですか

捕獲調査、商業捕鯨にかかわらず、海洋を高速で遊泳する鯨を捕獲するために捕鯨砲から銛を撃って鯨を捕獲しますが、現在は、鯨が痛みを感じる時間を出来るだけ短縮させるため、銛先に爆薬を搭載した爆発銛を用いています。 爆発銛は、IWCでの長年にわたる研究の結果、最も人道的な鯨の捕殺手段として導入を決めたものです。 日本は独自に開発した効率の高い爆発銛を使用していますが、長年にわたり捕獲調査の中で死んだ鯨の検死を始めとする研究を続け、即死率を高め、致死時間を短縮してきました。 この即死率や致死時間は、鹿、カンガルーなどの陸上野生動物のケースに比べても何ら劣るものではありません。 なお、即死率のさらなる改善等を念頭に日本は捕殺に関するデータを毎年IWCに自主的に提出しています。

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Q36.調査した後の鯨の肉を販売していますが、それによる収入はどのように使っていますか

国際捕鯨取締条約第8条2項で、「調査した鯨体は可能な限り副産物を生産し、その売却代金は政府の指示によって使用する」ことが規定されています。 そのため、日本鯨類研究所は、政府の指示に従って調査の副産物である鯨肉等を販売し、得られた収入を用いて次年度以降の捕獲調査を実施しています。

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