ホーム メール 印刷用
写真
写真
translate

東日本大震災による日本鯨類研究所所有の鯨体標本・資試料への被害について(暫定報告)


平成23年5月17日
財団法人日本鯨類研究所

本年3月11日に発生しました東日本大震災により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された地域の皆さま、そのご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。

当研究所が宮城県石巻市内で保管していた研究用標本・資試料について、東京から2名の職員を派遣して現地調査(3月28日及び29日)を行ったところ、今般の震災により多大な損害が生じていることが判明しました。

当研究所は南極海鯨類捕獲調査(JARPA、1987年〜2005年)、第二期南極海鯨類捕獲調査(JARPAII、2005年〜)、北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN、1994年〜1999年)及び第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNII、2000年〜)を通じて、膨大な標本・資試料を収集しております。特に南極海調査では24年の長期にわたり継続的・系統的に鯨体の組織標本を収集しており、当研究所が保有する標本群は世界に類を見ない貴重なものです。

また、当研究所は日本国内の定置網漁業で混獲された大型鯨類の販売に必要なDNA登録の実施機関になっており、その主たるDNA解析業務は当研究所鮎川実験場(石巻市)が担当していました。同実験場では上記の標本・資料に加えて、捕獲調査で得られたDNA解析用標本やバイオプシー(生体標本収集)標本とそれらのDNAの保管・管理をしていました。

これら標本・資試料から得られた科学的データは、国際捕鯨委員会科学小委員会(IWC/SC)がその有用性を高く評価している他、国内外の多くの研究者にも活用され、世界の鯨類資源研究に大きく貢献しています。

被害の詳細は、今後確認ができ次第改めて報告する予定です。今般の被害が今後の鯨類資源管理の研究に及ぼす影響の程度・範囲は、被害の詳細が判明してのち、さらなる評価・検討を待つ必要があり、現時点では不明です。今般の被害については、本年6月、ノルウェーで開催予定のIWC/SC年次会議で報告する予定です。

以上

東日本大震災による日本鯨類研究所所有の鯨体標本・資試料への被害について(暫定報告)− PDF形式

Valid XHTML 1.0 Transitional