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南極海のオキアミ資源状況は高水準にある

平成16年11月19日付
(財)日本鯨類研究所理事長 畑中寛

英国の科学雑誌「ネイチャー」※に掲載される論文によれば、南極のオキアミが70年代に比べ80%減少し、鯨類資源の回復にも影響を与えているとする報道について

1.「ネイチャー」に掲載された論文において、70年代に比べオキアミが80%以上減少したとしているのは、スコシア海の特定海域のみについてであり、南極海全体のオキアミ資源について言及したものではない。また、同論文においてスコシア海全域では38%の減少とされている。

2.スコシア海及びインド洋区では現在資源量の推定が行われているが、その他の海区では適切な資源量は見積もられておらず、南極海全体のオキアミ資源量についての知見はない。

3.オキアミの生息密度については、減少傾向を示しているようにも見受けられるものの、数年ごとに急増するといった現象も見られる。また、我が国が毎年実施している南極海鯨類捕獲調査の一環として行っている科学魚探によるオキアミ密度の調査では、オキアミの分布密度に年変動が認められるものの、一定の増減傾向は認められていない。このようなことから、オキアミ資源は、全体的には、資源状況は高位水準にあり、横ばい傾向にあると判断している。

4.なお、鯨類資源については、鯨種ごとに資源動向が異なり、シロナガスクジラはかつての20万頭から現在は1700頭に減少しているが、南氷洋ミンククジラは、8万頭から76万頭にまで激増している。このほか、ザトウクジラやミナミセミクジラなど多くの鯨類資源が回復・増加していることが、我が国が実施している上記調査等から確認されている。

(以上)

※ Long-term decline in the krill stock and increase in salps within the Southern Ocean, Nature, Volume 432, PP100-103, November 2004

ANTARCTIC KRILL RESOURCE STABLE AT HIGH LEVEL(http://www.icrwhale.org/eng/KRILL.pdf)参照

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