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2019年度新北西太平洋鯨類科学調査(NEWREP-NP)
−沖合調査における目視専門船の入港について−


2019年6月26日
指定鯨類科学調査法人 日本鯨類研究所


1. はじめに


日本政府は 2016年11月に、新北西太平洋鯨類科学調査計画案(NEWREP-NP:ニューレップエヌピー)を策定して、国際捕鯨委員会科学委員会(IWC/SC)に提出しました。 本計画案は、日本沿岸域におけるミンククジラのより精緻な捕獲枠算出と、沖合におけるイワシクジラの妥当な捕獲枠算出に必要な情報を収集することを目的としており、その後、IWC/SCによるレビューを受けた上で、2017年6月に最終化され、同年より開始されました。 NEWREP-NPは、沖合調査(本調査)と沿岸域調査から構成されており、日本鯨類研究所は沖合調査の調査実施主体となっています。 日本政府によるIWC脱退ならびに本年7月1日の商業捕鯨再開の決断に伴い、NEWREP-NPとしての活動は、6月30日で最後となります。


2. 調査の概要


勇新丸及び第三勇新丸は5月10日に下関港を出港して6月8日に同港へ帰港、第二勇新丸は5月11日に塩釜港より出港して6月26日に同港へ帰港、それぞれIWCガイドラインに則った目視調査(資源量推定のための目視調査)に加え、非致死的調査(自然標識撮影(注1)、バイオプシー(皮膚標本採取(注2))、衛星標識装着)を実施しました。 調査海域は、北緯35度以北、日本沿岸から東経150度までの北西太平洋(IWC管理海区の7WR及び7E海区)の一部海域及び北緯41度以南、日本海の一部海域(同6E海区)(図1)です。

190626調査海域図

図1. 2019年NEWREP-NPにおける目視専門船の調査海域。勇新丸は7WR、第二勇新丸は6E海区、第三勇新丸は7E海区を調査しました(矢印は調査した方向を示す)。


(注1)鯨の個体識別が可能となる外見上の特徴(模様、ヒレの形状、傷跡等)を写真に記録するもの。

(注2)DNA等を分析するため、鯨の表皮の一部を採取するもの。


3. 調査団の編成


3.1. 調査実施機関

指定鯨類科学調査法人 日本鯨類研究所


3.2. 調査船と乗組員数、計56名

目視専門船 勇 新 丸 (724 トン 葛西 英則 船長以下 19 名)

目視専門船 第二勇新丸 (747 トン 大越 親正 船長以下 19 名)

目視採集船 第三勇新丸 (742 トン 阿部 敦男 船長以下 18 名)


3.3. 調査員

勝俣太貴(日本鯨類研究所 調査研究部観測調査研究室研究員) 他5名


4. 主な結果


目視調査

総探索距離3,926海里(約7,270km)の探索により、シロナガスクジラやナガスクジラをはじめとしたヒゲクジラ亜目6種およびマッコウクジラ、シャチなどのハクジラ亜目2種の発見情報を収集した。 最も発見群の多かった鯨種は、マッコウクジラ(95群259頭)であり、次いでニタリクジラ(48群61頭)、ザトウクジラ(40群54頭)、ミンククジラ(40群46頭)、ナガスクジラ(23群37頭)、イワシクジラ(8群13頭)、シャチ(7群41頭)の順であった。

各実験結果

シロナガスクジラ5個体、ザトウクジラ4個体、シャチ7個体の自然標識を撮影した。バイオプシーは、シロナガスクジラ4個体、ナガスクジラ4個体、イワシクジラ2個体、ザトウクジラ3個体、ミンククジラ1個体、シャチ1個体から標本を採取した。衛星標識については、シロナガスクジラ1個体、ナガスクジラ1個体、イワシクジラ2個体へそれぞれ装着を行った。

まとめ

今期調査で得られたデータ及び標本は、今後、国内外の研究機関との共同研究により分析及び解析が行われ、鯨類資源に関する研究の進展に寄与することが期待される。研究成果については、詳細を来年のIWC/SCにおいても報告し、関連学会などで発表していく予定である。


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