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2025/26年度南極海鯨類資源調査(JASS-A: Japanese Abundance and Stock-structure Surveys in the Antarctic)の終了について


令和8年3月6日
指定鯨類科学調査法人
一般財団法人 日本鯨類研究所


1 経緯

本調査は、日本国政府が従来実施してきた南極海における鯨類資源の持続的利用を目的とした資源調査(非致死的調査)を継続するもので、令和元年6月30日の国際捕鯨委員会(IWC)脱退後、南極海における第7回目の調査航海となります。 本年度の調査は、南極海において鯨類の目視調査、バイオプシー試料の採集、衛星標識の装着や海洋観測などを行いました。 本調査の結果は、南極海における鯨類資源の適切な管理等に貢献するため、IWC/科学委員会や南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)/生態系モニタリング管理作業部会及び北大西洋海産哺乳動物委員会(NAMMCO)/科学委員会といった国際機関に報告する予定です。

調査船である第三勇新丸及び第二勇新丸は、令和7年12月3日に宮城県塩釜港を出港し、令和8年1月5日から2月7日までの34日間にわたり、南緯60度以南の南極海において鯨類目視調査や各種実験・観測を実施して、3月12日、両船ともに宮城県塩釜港に帰港します。


2 調査概要

・ 本調査は、水産庁補助事業により当研究所が主体となって計画の立案と実施並びに結果の分析を主導しています。

・ 本年度は、南緯60度以南の東経130度から東経170度までの海域(IWCの管理海区の一つである第V区の西側海域と東側海域の一部)(図1)を対象として調査を実施しました。

2026調査海域図

図1. JASS-A調査海域、灰色:全調査海域、青:本年度の調査海域

・ 一昨年に続き、チリ共和国の研究機関CEQUA*の科学者1名が調査に参加しました。

・ 過去の調査と一貫性のある鯨類の資源量推定に必要な目視データの収集を行いました。 さらに、多数のバイオプシー試料の採集や衛星標識装着など、様々な非致死的調査データの収集にも成功しました。

・ 最も多く発見されたのはザトウクジラで、主に調査海域の南側に高密度で分布していました。 その次に多く発見されたナガスクジラも主に調査海域の南側に数多く分布していました(図2)。

主要ヒゲクジラ4種

図2. 主要ヒゲクジラ類4種の発見位置

・ 今回の海域においても、ザトウクジラとナガスクジラの著しい資源回復と分布域の拡大が明らかとなりました。

・ クロミンククジラが主要分布域である氷縁近辺を含めて発見数が少なかったのは、餌生物のナンキョクオキアミをめぐり競合関係にあるザトウクジラとナガスクジラの資源回復及び分布域の拡大の影響が強いと考えられ、その結果、それらのクジラや調査船が入り込むことのできない氷縁の奥に形成された水域(ポリニア)(図3)に主要な分布域を移行させていた為と推測されます。

ポリニア

図3. 調査海域の氷縁以南に形成された水域(ポリニア)(赤丸)

・ シロナガスクジラは、この海域の過去の調査の中で最も発見数が多く、資源回復の兆候が確認されました。

・ 過去からの継続的な調査により、鯨類を中心とする南極海の生態系が現在も著しく変化を続けている現象を捉えることができました。

* Center for the Studies of the Quaternary of Fuego Patagonia and Chilean Antarctic (CEQUA), Punta Arenas, Chile


2.1 主要調査目的:

(1) 南極海における大型鯨類の資源量およびそのトレンドの研究

(2) 南極海における大型鯨類の分布、回遊ならびに系群構造の研究


2.2 航海期間と調査期間:

航海日数:100日間(第三勇新丸及び第二勇新丸)

令和7年12月3日(塩釜港出港)〜令和8年3月12日(塩釜港入港)

調査日数 (調査海域):34日間

令和8年1月5日(開始)〜令和8年2月7日(終了)


2.3 調査海域:

調査海域は、南極海に設定されたIWC管理海区の一つであるV区の西側海域と東側海域の一部で、南緯60度以南の東経130度から東経170度までの海域(図1)でした。 また、日本から調査海域への往復航海の海域において外国の200海里を除く海域で中低緯度目視調査を実施しました。


2.4 調査員:

第三勇新丸

磯田辰也(調査団長:(一財)日本鯨類研究所 第1研究部門次長)を含む4名*

* チリ共和国の研究機関CEQUAから科学者1名が乗船

第二勇新丸

川ア南門(調査員:(一財)日本鯨類研究所 調査センター研究員)を含む3名


2.5 調査船:

第三勇新丸(742トン、共同船舶(株)所属、野島茂船長 を含む16名)

第二勇新丸(747トン、共同船舶(株)所属、大越親正船長 を含む16名)

総員39名が乗船し、調査航海に従事しました。


2.6 実施機関 :

指定鯨類科学調査法人・一般財団法人 日本鯨類研究所


2.7 総探索距:

3,156.0海里(5,844.9km)


2.8 主な発見鯨種:

シロナガスクジラ 40群 48頭

ナガスクジラ 184群 456頭

クロミンククジラ 63群 97頭

ザトウクジラ 661群 1,234頭

イワシクジラ 8群 25頭

マッコウクジラ 3群 3頭

ミナミトックリクジラ 2群 6頭

シャチ 7群 57頭


2.9 各種実験・観測結果


(1)距離角度推定実験

目視観察者ごとの鯨類の発見角度と距離の推定精度を求めるために距離角度推定実験を実施しました。


(2)自然標識写真撮影

シロナガスクジラ 35頭、ザトウクジラ 62頭、シャチ 14頭


(3)バイオプシー試料採集

シロナガスクジラ 18頭、ナガスクジラ 25頭、クロミンククジラ 12頭、ザトウクジラ 29頭、シャチ 3頭


(4)衛星標識装着

鯨類の移動並びに潜水行動の記録を目的として、ナガスクジラ14頭とクロミンククジラ10頭に対して衛星標識を装着し、遊泳情報を収集しました。


(5)XCTD(投下式塩分水温深度計)による海洋観測

調査海域における海洋構造と鯨類分布の比較を目的として、観測点158ヵ所で水深0m〜1,850mまでの水温と塩分濃度を測定しました。


(6)ドローンを活用した調査

シロナガスクジラ1個体の映像撮影に成功しました。


(7)海洋漂流物(マリンデブリ)観察

本年度は、南極海の調査海域において、海洋漂流物1個(ドラム缶)を確認しました。


写真: 2025/26年度南極海鯨類資源調査(JASS-A)の様子


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第三勇新丸 海氷域を航行する第三勇新丸 シロナガスクジラ(ドローン空撮)
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シロナガスクジラ ナガスクジラ ナガスクジラ (本種は右下顎が白いのが特徴)
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クロミンククジラ クロミンククジラのブリーチング ザトウクジラ
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ザトウクジラの潜水 氷山とナガスクジラ シャチの群れ
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バイオプシー採集 XCTDによる海洋観測

過去の調査の動画は、当研究所Youtubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCz3c9IIMiQPVeryAogmJIig)でご覧になれます。


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