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調査研究活動

日本鯨類研究所の現在の組織体制と研究活動


指定鯨類科学調査法人としての日本鯨類研究所

2017年6月23日公布の「鯨類の持続可能な利用の確保に関する法律」(法律第76号)において、日本の将来の商業捕鯨の持続可能性を確保するためには「鯨類科学調査」が不可欠であるとされました。同法はまた、鯨類の科学調査の実施を「指定鯨類科学調査法人」が担当すべきと規定し、その法人として日本鯨類研究所が選定されました。 「鯨類科学調査計画」の指針及び「指定鯨類科学調査法人」の役割については、「鯨類の持続的利用の確保に関する法律」の第6条及び第7条にそれぞれ規定されています。

2017年、日本はいわゆる「モラトリアム」の対象となるIWC加盟国として、商業捕鯨を行っていませんでした。この年、日本鯨類研究所は南極海で新南極海鯨類科学調査プログラム(NEWREP-A)を実施し、北西北太平洋での新北西太平洋鯨類科学調査プログラム(NEWREP-NP)開始準備を進めていました。これらのプログラムは、IWCの下での将来の日本の持続可能な商業捕鯨に向けた改定管理方式(RMP)実施に必要な関連データの取得を目的としており、当研究所は「指定鯨類科学調査法人」としてその業務を担当していました。

日本は2019年6月30日に国際捕鯨委員会から正式に脱退しました。これに伴い、日本政府はNEWREP-A及びNEWREP-NP鯨類科学調査を中止しました。代わりに日本は2019年7月より、自国の領海及び排他的経済水域(EEZ)内における捕鯨業を再開し、国内法に基づき運営しています。IWC脱退及び持続可能な商業捕鯨開始の決定は、2018年12月26日付の内閣官房長官による8項目の声明で説明されました。

この状況を受けて、「鯨類の持続可能な利用の確保に関する法律」の見直しが必要となり、その結果、同法は改正されました(「商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律の一部を改正する法律」、2019年法律第73号)。「指定鯨類科学調査法人」としての日本鯨類研究所が、非致死的調査による鯨類資源の科学調査を通じて、商業捕鯨事業の持続可能性を支援できることを主な目的として定められました。

そのため、2019年以降、日本鯨類研究所は「指定鯨類科学調査法人」として、1987年から2019年にかけての特別許可による鯨類捕獲調査プログラムの策定・実施から、鯨類資源の評価と持続可能な利用を確保するために必要な科学的情報を提供することを主目的とした非致死的技術に基づく鯨類資源調査の設計・実施へと役割を転換しました。日本鯨類研究所の現在の組織図は図1に示します。

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図 1. 日本鯨類研究所の現在の組織図。


したがって、「指定鯨類科学調査法人」としての当研究所の目的は、1987年の当初の目的と一貫しています:

「本研究所は、鯨類その他の海産哺乳類に関する試験研究及び調査並びに鯨類その他の海産哺乳類に係る国際情勢に関する調査等を行うことによりもって水産資源の適切な管理と利用に寄与することを目的とする。」


日本鯨類研究所の現在の研究組織体制

日本鯨類研究所は調査研究部傘下に2つの研究部門(第1研究部門および第2研究部門)として再編されました。各研究部門は5つの研究室から構成されています。さらに、2024年4月に当研究所は東京事務所に加えて和歌山県東牟婁郡太地町に太地事務所を開設しました。現在、鯨類の生物学、遺伝学、摂食生態学、環境化学物質に関する研究に特化した全ての研究室は太地事務所に所在しています(図1参照)。

図2には、日本鯨類研究所の研究目的と、それらの目的達成に必要な調査研究部の各研究部門・研究室・センターの連携関係を図示したものです。当研究所の研究活動には主に3つの目的があり、これらは鯨類資源の保全及び持続可能な利用という最終目標達成のために必要とされています:

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図2. 日本鯨類研究所の3つの目標と達成に向けた活動。


目標A

捕獲可能量と捕鯨に関する管理上の助言提供。

目標B

未利用資源の状況および関連する保全の助言提供。

目標C

鯨類およびその生息環境状態モニタリング。


これら二つの研究部門と研究室は、これら三つの目標達成に向けて連携して活動しています。第1研究部門は、資源評価(すべての大型鯨類、捕獲対象種および非捕獲対象種)および資源管理(商業捕鯨の対象鯨種)に直接関連する研究を担当しています。管理とは、商業捕鯨における持続可能な捕獲可能量を算出するための科学的プロセスを指さします。第1部門の研究活動には、遺伝的・非遺伝的データの分析による系群構造の解明、目視データを用いた資源量推定、資源動態モデルを用いた鯨類資源の状態判定が含まれます。

第2研究部門は、クジラの健康状態、栄養状態、生態系における役割の指標として活用可能な生物学的・生態学的研究を扱います。第2研究部門における研究活動には、資源動態、摂食生態に関連する生物学的パラメータの推定、および鯨体内における化学汚染物質の調査が含まれる。鯨類生物研究室で推定される生物学的パラメータは、資源評価関連目的においても重要です(図2)。

図3では、第1研究部門および第2研究部門の各研究室の主な研究活動と、それらが日本鯨類研究所の研究目標に果たす役割をまとめました。詳細は以下記載します。

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図 3. 各研究室の主な研究活動と目標達成への役割。


各研究室が実施する分析に使用されるデータとサンプルは、北西・中部北太平洋および南極海インド並びに太平洋海域における過去の鯨類捕獲調査プログラムに加え、前述のその他の調査(鯨類捕獲調査とは独立した(国内・国際)目視調査、 混獲・ストランディング調査、小売市場における遺伝子調査、ならびに過去の日本商業捕鯨及び現行の捕鯨業における生物学的調査などから由来しています。複数の研究活動は、研究部門間または研究室間で実施されています。


詳細は下記からお進みください。


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